ワインとグラスのマリアージュ

2012年3月30日

先日、コンラッド東京にワイングラスで有名なリーデルの10代目当主、ゲオルグ・ヨーゼフ・リーデルさんがいらっしゃいました。3日間お仕事で滞在されていましたが、日本食、中国料理、フレンチすべてのレストランにお越しいただきました。



コンラッド東京では様々な形状のリーデルワイングラスを取り扱っております。
それはワインの産地やブドウ品種、味わいの個性によってソムリエがベストのグラスをチョイスいたします。いわば、ワインとグラスのマリアージュ!!

ワインは料理との相性も大切ですが、グラスとの相性も同じくらい大切で慎重でなければいけないのです。

1つ極端で簡単な例を挙げます。
① 口の窄まったシャンパングラスで、オールドヴィンテージのボルドー赤ワインを飲む。
② 口が広がっている大き目のグラスで、オールドヴィンテージのボルドー赤ワインを飲む。

当然、②の方が適していますね。なぜならば、空気に触れる面積が広いから香りがより強くなる。そして、ワインの味も変化しやすくなり楽しめるという訳ですね。

リーデル社は、ブドウ品種ごとにグラスの形状を変えて各ワインに適したものを250年もの間造り続けているのですね。

そして、今回皆様にも紹介したいリーデル製品があります。
それは、こちらのデカンタです!!



ここまでくると、アートの世界ですよね。
私も数々の形状をしたこのデカンタを目の前に興奮してしまいました!しかも、実際に使用したのです。



ソムリエをしてきて、一晩でこんなにも形状の違ったデカンタを使ったのは初めてでした。比較的取り扱い易いものもあれば、使い方の難しいものまでありました。
なんといっても、この大きなカラーデカンタ!!!



「マンバ(コブラ科の蛇)」というシリーズ。大きさにも驚きですが、使い方もちょっぴりコツがいるのです。伝わりにくいでしょうが、デカンタを傾けながらワインの入っている下の部分を回すと空気が入り、上部まで上がってきてから注ぐのですが、なかなかこれが難しくて大変でした。慣れてきたときに、ゲオルグさんにサーブしたら、"Perfect!!"とお褒めの言葉までいただきました(笑)。



他のすべてのデカンタも使用しましたが、このマンバが一番色々な意味でインパクトがありました。

今回、このような機会を設けていただいたゲオルグ・ヨーゼフ・リーデルさん、リーデル社の庄司さん、本当にありがとうございました。貴重で二度とない経験をさせていただきました。

今後も料理とワインとグラスのマリアージュを探求し続けて参ります。

コンラッド東京
ソムリエ 
北原康行

Hilton Wine Experience

2012年2月 7日

先日、ヒルトン東京ベイにて、ヒルトン・ジャパンで提供するグラスワインの選別を行う機会がありました。私たちは、コンラッド東京のワインのコンサルタントを勤める、マスター・オブ・ワインのロン・ジョルジオ博士とともに200種類のワインと向き合いました。




まずは、こんなにもたくさんの情熱あふれるワインをそろえてくださったインポーター各社様にお礼を申し上げます。本当に感謝しております。

正直、ソムリエをやっていてもこんなに短時間でたくさんのワインをテイスティングすることは、めったにありません。ましてや、マスター・オブ・ワインと...。

各ヒルトンからワイン担当者が集まるテイスティングですが、ロンさんのスピードに着いていくのがやっとです。彼のテイスティングには自分の美学を感じます。的確でぶれがありません。かといって押し付けがましくも無く、皆の意見もきちんと聞いてくれます。そこが、いいセレクトに繋がるわけですが...。



休憩を少し挟んで、終わるころには歯は真っ黒、意識は朦朧としています。

ミッキーの電車にゆられ、コンラッドに帰るさなか、ディズニーランドを横目にいいセレクトが出来たと確信いたしました。出来ることならミッキーとミニーにも飲ませてあげたい気持ちでいっぱいでした。

そんなグラスワインの新しいセレクションは、3月末、春先ごろの発表を予定しています。どうぞお楽しみに。

これからも皆様に少しでも喜びを伝えられますよう努力してまいります。

コンラッド東京
アシスタント ヘッドソムリエ
濱田真児

テロワールとは? マチュー・ダイスさんがいらっしゃいました。

2011年12月 9日

フランス、アルザス地方のドメーヌ・マルセル・ダイスを、父のジャン・ミッシェル・ダイス氏と共に運営している、マチュー・ダイス氏がコンラッド東京にいらっしゃいました。



ドメーヌ・マルセル・ダイスは、1744年からワイン産地アルザスの中心部の小さな村"ベルグハイム"にて代々ワインを造り続けています。
現当主のミッシェル氏は責任感が強く、誠実な造り手であることから、自分のワインにこのような結論を出したのです。

「独自のオリジナリティーや個性、本来備わっている個性が強いワインを造ることが出来る、特定の"テロワール"に絞って、ぶどうの木を熱心に育てていく」

それでは、"テロワール"とは?それは下記の点を考慮します。

・地質学
・土壌学
・気候やミクロクライメート
・土壌の特性を専門的に分析すること
・植物や動物の生態系
・ワイン造りの伝統的な方法や技術

テロワールとはこういった緻密な内容が作用する特別な土壌なのです。

ミッシェル氏は、アルザスに初めて「テロワール」の概念を持ち込んだ偉大なる人物で、さらにはAOC法の改正(アルザスにグラン・クリュを認めるワイン法改正の手続きの中で、ミッシェル氏はブレンド物を持ち込んでグラン・クリュとして認めるよう主張しました。10年がかりの活動の末、ようやく認められるようになりました。等々)を成し遂げました。現在は、彼が昔から提唱する、テロワールに基づく自称、「プルミエクリュ」を実現させるべく運動を続けています。

そんな、ミッシェル氏と共にワイン造りを続けているマチュー氏とテイスティングをご一緒させていただきました。



プルミエクリュ申請中のワイン、エンゲルガルテン、ローテンベルグの2つの畑を比較試飲しましたが、これがなんともビックリしました。なんと、ブドウの品種構成は一緒という事でしたが、テロワールの違いを実感できる絶好の機会となりました。

エンゲルガルテンはミネラル感に富んだ、きれいな伸びのある酸味の心地よいエレガントでやさしさを感じるワイン。香りも奥のほうに潜んだ控えめの印象を受けました。

ローテンベルグは、主張が強く、エキス分に富んだ、素直なおいしさを表現してくれるワインです。わが道を行くといった印象です。

どうして、こんなに同じ年、同じヴィンテージで差が出来るのかマチューさんに尋ねてみました。その答えはずばり、「テロワール!」。

では、なぜテロワールにこだわるのかというと、答えはこうなのです。

「最近のようにワインのラベルにブドウの品種を表示する人気の"ヴァラエタル"ワインにずばり対立する概念として」とのこと。

アルザス地方はブドウ品種を重視する地方で、従来テロワールを重視していなかったのです。そこに着目したというわけです。アルザスと言えばもともと複雑な土壌をもった広大な産地。こういった複雑さをなくすための理由だけで"ヴァラエタル"に逃げていたのかもしれません。

私個人としては、テロワール賛成派です。そこには歴史的な何かも手伝って、代々暮らしてきた人々の息吹さえ感じられます。フランスに限らず世界中のワインに言える事です。

ドメーヌ・マルセル・ダイスのワインは、ボトル、グラス共にワインリストにオンリストさせていただいております。ぜひ、何本かご注文されて、テロワールの違いを確認してみてはいかがでしょうか(笑)。

今年も残すところあと僅かとなってまいりました。皆様にとって良い締めくくりとなりますよう、コンラッド東京も張り切って年末を迎えようと思います。
皆様のお越しを心からお待ち申し上げます。

アシスタント ヘッドソムリエ
濱田真児

Veuve Clicquot Night

2011年11月 2日

10月19日(水)、ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社、10代目最高醸造責任者、ブドウ調達・醸造担当ディレクターのドミニク・ドゥマルヴィル氏が来店され、日本料理「風花」にてディナーを開きました。

テーマは和食とシャンパン・ヴーヴ・クリコのマリアージュです。
「風花」の稲葉正信料理長がヴーヴ・クリコに合わせて料理を提供しました。



この日お楽しみいただいたシャンパンは4種類。
・イエローラベル NV
・ローズラベル NV
・カーヴ・プリヴェ・ヴィンテージ ロゼ 1989
・カーヴ・プリヴェ・ヴィンテージ 1990

皆様ご存知の鮮やかなオレンジ色ラベルのイエローラベル、サーモンピンク色が特徴のローズラベルを楽しんでいただいた後に、この日のメインシャンパンの登場です。

カーヴ・プリヴェ・ヴィンテージ'89(ロゼ)、'90。

このシャンパンは長期熟成をカーヴで経た後、ドゥマルヴィル氏が飲み頃と判断された今、改めて世界に出てきたシャンパンなのです。

カーヴでじっくりと熟成されたこの2つのシャンパンは、泡立ちがゆっくりと立ち昇り、繊細でエレガント。イエロー、ローズラベルはフルートグラスで提供しましたが、ドゥマルヴィル氏の指示によりカーヴ・プリヴェは白ワイングラスで提供しました。
テイスティングしましたら白ワイングラスでサーヴする理由がわかりました。

'90はパンを焼いた時の香りが強く出ていて、複雑性もあり香り豊か。口当たりは滑らかで白桃をシロップ漬けした果実味がアフターまで続き、余韻も非常に長く旨みたっぷりのシャンパンでした。この芳醇な香りとリッチな味わいには、やはり白ワイングラスのほうが楽しめると思いました。

'89はピンクゴールド色がキラキラと輝き、モカやココアを思わせるロースト香にドライフルーツのフレーバーが加わります。味わいはまだまだ酸味もしっかりとしており、'90と比べるとイキイキとした印象です。
このロゼには、まつたけの神戸牛巻き焼きを合わせ最高のマリアージュだと皆様からお声をいただきました。

私もサーヴしながら、「食べたい、飲みたい」が頭から離れませんでした(笑)。



和食とシャンパンのマリアージュはここ最近では定番の1つになっていますが、今回のディナーで私も改めてベストマッチ!だと共感しました。

お忙しい中、ホテルに足を運んでいただいたお客様にこの場を借りてお礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

今月11月25日(金)に、「ゴードン・ラムゼイ at コンラッド東京」にてシャトー ラグランジュのディナーを開催いたします。詳細はこちらです。
皆様のご来店をスタッフ一同お待ちしております。

ソムリエ
北原康行

クリュッグ6代目当主 オリヴィエ・クリュッグさんと一緒にテイスティングしてきました。

2011年10月12日

Krugは1843年にヨハン・ヨーゼフ・クリュッグによりランスに設立されたグラン・メゾン。全てのワインの一次醗酵は小樽を使用、二次醗酵後は6年以上も寝かせるというこだわりは6代目当主であるオリヴィエさんにまで代々受け継がれています。

樽醗酵の何が特別なのか・・・。
多くの造り手は温度管理のできる大きなステンレスタンクで一次醗酵を行います。これは非常に安定感のある醗酵ができます。が、小樽は容量も少なく一つ一つの樽により状態も異なります。小樽での醗酵にはかなりの経験と知識、研ぎ澄まされた五感が必要になるのです。



テイスティングしたシャンパーニュは三種類。
Krug Clos du Mesnil 1998
Krug 1998
Krug Grande Cuvée

最初はKrug Clos du Mesnil 1998とKrug 1998の比較テイスティングをしました。

Clos du Mesnil 1998
クロ・デュ・メニルとはKrugの最上キュヴェであり、素晴らしい年のみに僅か1.85ヘクタールの単一畑、単一ヴィンテージ、単一品種(シャルドネ100%)で造られる、テロワールが持つ個性を最大限に引き出したシャンパーニュです。
オリヴィエさんは、「ピュアで日本のゆずを思わせるワイン。
またこんなに高いシャンパンなのに、Clos du Mesnilを造るのが一番シンプルで簡単だ。」とおっしゃっていました。

やや黄金色がかったイエロー。ゆっくりと立ち上る優雅な泡立ち。凝縮感のある果実の香りで、レモン、カリンのコンポート、ミネラル、ハチミツ、バター、ブリオッシュ、ローストしたナッツに若干のスパイスや土っぽさなど奥行きのある複雑な香りが広がります。
味わいは力強く、背筋の伸びた綺麗な酸味が広がり、非常にバランスの良いハーモニーを奏でていました。



1998年は1961年以降最も暑かった年。エレガントさに加え、ハチミツやバターなど夏を反映させた暖かさを感じる年です。ですから、Krug Vintage 1998はボディの厚みを感じる仕上がりになっていました。
Krugのヴィンテージ・シャンパーニュは造ると決めた年だけ、つまり良い年にしか造りません。だからVintageによりKrugのスタイルは変わらぬものの、全く異なるシャンパーニュが生まれます。

Krug Grande Cuvéeは毎年同じ味わいを生み出すエレガントなシャンパン。
オリヴィエさんはこのシャンパーニュを造るときは、その年に収穫されたブドウを30~40%使用し、その他は150種類にも及ぶリザーヴワインの中から厳選し、ブレンドして一貫した味わいを生みだしていくとおっしゃっていました。

そこにレシピなど存在しません。説明もできません。テイスティングを幾度となく重ねることで初代から受け継がれた味わいを表現している。計ることが出来ないものを形にする。
それがKrugのスタイルなんです。

今回はオリヴィエさんが隣に座っていたので、沢山楽しい話を聞けました。感謝です。

専門的な言葉をチラホラ使ってますが、Conrad Tokyo Wine Schoolの中級クラスの最初のセッションがシャンパン講座なので、そこで詳しく説明しますから良かったらご参加くださいね。

「コンラッド東京 ワインスクール」の詳細はこちらです。


ヘッドソムリエ 
河野哲也